「見る」から「知る」への
ホエールウォッチングへ

クジラのうんこには、未知なる情報がたくさんつまっています。日本初の「クジラのうんこプロジェクト」は、子どもから大人までホエールウォッチングを楽しみながらも真面目に面白がりながらクジラがうんこをするのを待ち望み、うんこをしたら、協力し合いながら全力ですくい上げ、各プロフェッショナルに託し解析を行います。解析結果によっては、未知なる大発見!につながるかもしれないロマンあふれるプロジェクトです。

「見る」から「知る」へのホエールウォッチングとは?

大方ホエールウォッチングは、クジラとの出逢いを提供するだけにとどまらず、より深い学びを提供できるホエールウォッチングを目指しています。
土佐湾に暮らすクジラの「うんこ」の解析を行うことにより、その個体の体調チェック、種の特定や、彼らの暮らす場所の環境の変化や環境問題などを知ることができます。私たち人間と同じ哺乳類である彼らを調べることにより、海の環境を考えたり、人と自然のつきあい方を考える人が増え、クジラの生息海域および地域の環境が保全される状態を目指しています。

調査内容
  1. ホエールウォッチング中にクジラがうんこをするのを待つ。もしくは全力で探す。専門のドローン操縦者がいる場合は、ドローンから探すときもある。
  2. クジラのうんこを見つけたら、沈む前に急いで準備している網やバケツですくい上げる。
  3. うんこをしたクジラの背びれの写真を撮影(個体識別)。
  4. 目の細かい網やフィルターでクジラのうんこを濾す。
  5. ジップロックに入れ冷凍し、国立科学博物館へ郵送。
  6. 国立科学博物館から各研究員へうんこを渡し解析。
  7. 採取の状況や解析結果をSNSで発信。⇒公式Xはこちらから

経緯

2022年に国立科学博物館の研究員によるニタリクジラの勉強会をきっかけに、クジラからの試料(表皮や糞)を調べることで、環境問題や種の特定などにつながることを教えてもらった。同年のホエールウォッチング中にさっそくクジラ排泄シーンに出逢い、クジラのうんこを採取できたのをきっかけに、2023年、国立科学博物館にも協力をもらって関係機関で「クジラのうんこプロジェクト」を発足した。

プロジェクトメンバーの
コメント

大迫 綾美
大方ホエールウォッチング

このプロジェクトを行うことで、必然的に人と自然のつきあい方を考える人が増え、クジラの生息海域および地域の環境が保全される状態を目指していきたいと思っています。そして、土佐湾の鯨類との関わりは、観光という概念だけでなく、教育面や研究、黒潮町の文化としてホエールウォッチングを継承していくきっかけになればと考えています。

田島木 綿子(研究総括)
国立科学博物館 動物研究部 研究主幹

クジラのうんこ?!が海洋生態系にどのように役立っているのか?生物の排泄物には、はっきり言って良いイメージはないですよね?でも、考えてみると、我々もする排泄物は、実は周りの生物の明日の糧になっているのです。クジラのうんこにも食物連鎖の要である一次生産者の植物プランクトンにとって重要な栄養源が含まれているようなのです。実際、クジラのうんこを採取して、どんなものが含まれているのか?を解明しようと、メンバー一丸となって調査・解析に取り組んでいます。皆さんもクジラのうんこから海洋生態系の仕組みをのぞいてみませんか?!

プロジェクトメンバー
  • NPO砂浜美術館、大方ホエールウォッチング
  • 山田格(国立科学博物館
  • 田島木綿子(国立科学博物館)
  • 塩崎彬(国立科学博物館)
  • 西間庭恵子(筑波大学)
  • 大枝亮(筑波大学)
  • 西田伸(宮崎大学)
  • 藤井雅巳(KURIKURICRAFT合同会社
  • 松本憲行(一般社団法人 富士ストランディングネットワーク)